スナノキヲク 6



出発


 準備が整っていよいよ出発です。くらげは駱駝に乗るのは初めてです。駱駝のこぶに鞍が付き、その両脇に荷物を詰めた篭がぶら下がります。後になって気がついたのだけれど、その駱駝は他のに比べて一回りも二回りも大きく、駱駝の中でもかなり大きい様でした。いよいよ駱駝は歩き始めます。ガイドの人は歩いて駱駝を弾いて行きます。すぐに先程の旅行者達とすれ違います。やはり団体のツアーはほんの少し先までしか行っていなかっったのです。何となく優越感に浸るけど、大方の人はそんなことに興味を持っていないのでしょう。乗り方のコツは体の動きを駱駝に合わせるようにします。この駱駝、気が多いのかすぐに寄り道してその辺の枯れ葉などを口にします。これも愛敬と思いつつ、駱駝は沙漠を彼なりのペースで歩み続けるのでした。





ぎんぎんぎらぎら


 駱駝は町を後にすると、灌漑で細々と営まれてる農場を抜け、まばらに木の生えた沙漠を進みます。するとある地点を境に急に木がなくなり、砂の波が現れます。途中までは何となく道が付いていたのですが、この辺りまで来るともう道はなく、沙漠の中に放り出された感じです。駱駝は風紋を踏みつつ進んでいきます。風景も変わり、見えているのは僕らのほかには小さな木と遠くに見える木立(多分オアシスでしょう)そして砂と蒼い空と太陽。そして、夜には満点の星空と天の川につつまれます。どちらにしても、空の色が、星の輝きが違います。昼にしろ夜にしろ360度の地平線なんて日本じゃなくてもなかなかお目にかかれません。くらげがいる場所は、たとえ、今クーデターが起きて世の中が大混乱になったとしても、僕たちは絶対に気がつかないのです。


沙漠の写真です(昼と夜)。





沙漠でごはん

 駱駝が歩き始めて約2時間。砂の中に突如として泉が現れました。辺りに木が生えているわけでは無いのです。くらげもちょっとびっくりしました。そこで小休止。お昼御飯です。はっきり言ってキャンプ生活そのものなので、まずは薪を集めます。立ち枯れしている木です。意外と探すと集まる物で、それで炊きびをします。鍋には鶏肉と玉葱と人参とジャガイモが入れられ、トマトシチューが作られます。もちろんこれにはハリッサが入っていてちょっと辛いのです。それとその場で焼くパン。但し、イースト菌で発酵させていないので、正確にはパンのようなものと言うべきでしょうけど…。ちなみに夕飯にはこれに甘〜いチュニジア風紅茶が付きます。そして朝食はパンと紅茶です。屋外と言うこともあって確かにおいしいのですが、毎回同じ食事というのがちょっと残念でした。





沙漠のパンの作り方


 さてここで、一体どのようにしてパンを作るのかですが、まずホーロー製の洗面器に小麦粉と塩と水を入れ、練ってパン生地を作ります。これを平たく伸ばして円盤状にします。あらかじめ起こしておいた焚火が消え、消し炭状態になったところで、消し炭は丸くドドーナツ状に退けられます。真ん中には焼けた砂が砂が現れ、そこに丸く伸ばしたパン生地を置き、その上に退けておいた消し炭を乗せ乗せパンを焼きます。頃合いを見て途中でひっくり返し、反対側もちょいと焼くと、パンの焼き上がりです。砂や灰が付いているのでそれらをよく落として、幾つかに分けて食べます。見た目はインド料理に付いてくるナンを丸くした感じで味も似ていますが、イーストが入っていないのでもっと固く、歯ごたえがあるのでよく噛むと美味しいです。素朴で何となく懐かしい味がします。


パンづくりの写真です(2枚)。





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