スナノキヲク 5



穴の中へ…


かのジョージ・ルーカスの映画『スターウォーズ』を知らない人はいないでしょう。その中でルーク・スカイウォーカーの故郷として撮影に使われた場所があります。ハリウッドではなく、マトマタという町です。この町は新市街と旧市街が10km以上離れていて、とても紛らわしい所です。そのマトマタの旧市街には今もあの映画と同じような不思議な住居が残っています。作りは大きな縦穴を掘り(深さ7,8メートル)そこから横に洞穴を作りそこを住居とします。住居以外以外にも幾つかの部屋を作り倉庫や家畜小屋になったりもします。さらには二つの縦穴をトンネルで結んだりもしてあって、何とも不思議な家なのです。これもホテルになっていて泊まることが出来、やはり漆喰で固められ、窓も暖房もありません。トイレ、シャワーは共同だけど、なかなかいいものです。
(注:ここでいう『スターウォーズ』は最初に公開(1977年,1997年に特別編)された物のことです(EpisodeIV)。ちなみに1999年に公開された『スターウォーズ EpisodeI <ファトム・メナス>』でもチュニジアはロケ地として撮影に使われています。)

 マトマタ風縦穴式住居





遊牧民


 バスなどで町から町へと移動すると途中の町に寄って人が乗り降りします。町と町の間は当然沙漠で少し赤茶けた大地に適当な間隔で低木が生えています。不毛ではないがオアシス以外では人の膝より高い木には決して育ちません。そんな沙漠の途中でなぜか突然バスが止まります。辺りには家もオアシスも見あたりません。でも、そこで一人の男が降りて、そして沙漠に向かって歩いてゆくのです。その先に何があるのか、何も見えません。きっと谷間の隠れたところに家でもあるのだろうけど。何の変哲もない大地を一人で歩いて行く。いかにも沙漠の遊牧民なのです。





沙漠への門

 くらげの今回の旅行の一番の目的は沙漠を駱駝に乗って旅することです。そのためにくらげはドウーズと言う町を訪れました。町の裏に大きなオアシスがあって、その先に僕らがよく写真で見る砂の沙漠つまり砂漠があります。オアシスの途中で、地元の男の子がロバ車に乗せてくれました。ロバ車に揺られながらオアシスを抜けて行きます。ドゥーズには冬に砂漠祭があって、これはこの町にとっては最大の祭であり、誇りなのです。その祭の会場がオアシスのはずれで、砂漠との境目です。それを越えると砂が小高く波打っています。ここから続く沙漠はそれまでと違って砂丘に近くなってきます。お祭り用の観客席を登ると遠く地平線が見えます。乾いた大地はクリーム色で、砂丘が大きくうねり、その表面は小さく波立って風紋を刻んでいます。

 沙漠に続く門です





ひまつぶし


 くらげは駱駝ツアーを二泊三日で申し込みました。しかし、申し込んだところが何となく怪しげなところで、実際に出発してみないと安心できません。知っている人も多いと思うけど、『…のはず』は現実になるまで安心は出来ないのです。出発地で二時間ほど待たされていると、轟音と共に、日本製の四駆数台に分乗した旅行者がやってきました。彼らは無駄な時間もなく駱駝に乗って散歩に出かけて行きます。大手旅行代理店と、行き当たりばったりの個人旅行者との違いでしょう。まあ全ては神が決める国。くらげは気長に待つしかないのです。やがてぽつりぽつりと町の人が集まってきます。しかし、そのほとんどは暇潰しなのです。そして、人達と何となく会話のような会話を交わす。そんな人々を大地が支え、青空が包み、太陽が暖めています。





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